午睡と虫養い

観た映画・ドラマの感想。時々漫画と本も。

罪の声

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罪の声

tsuminokoe.jp

2020年10月30日公開。私は10月31日に観てきました。原作は既読です。→感想

 

観賞直後の感想は「野木さん(脚本)がすごい」の一言。圧巻。野木さんはどうして原作の重要なポイントを一つ残らず拾いあげることができるんだろう……相当な神経を使われているんだろうなあとただただ感服しました。

原作読了後「これどうやって2時間ちょっとの映画にまとめるんだろう…? 濃度が濃いし登場人物も入り乱れているし」と実は少し不安になったのですが、全くの杞憂でした。野木さんなら何も心配要らないな!

 

原作を読んだ直後はうまく言葉にできていなかったのですが、私は犯人たちがとても愚かに思えたんですよね。何やってんだ、って言う。

でも映画だと、犯人側の確固たる意思や、その思考に至る過程に説得力があって唸らされました。「あんたたちが愚かだから!」と言い放つことができなくなってしまった。

原作でも映画でも、悪いのはもちろん犯人たちであって、子供たちに犯罪の一端を担わせ、人生を狂わせた罪はあまりにも重いことに変わりはありません。

でも役者さんの演技の凄さもあるのかな、あの人とあの人の行動理由にも肯かされるものがあったんですよ…大人だってかつては子供だったのです。自分の意思に関係なく大人の、社会の理不尽に巻き込まれてしまった子供。

そう考えると、少なくとも一方的に糾弾はできないのではないか、少なくとも私個人として彼らを断罪せよと声高には叫べない。と思ってしまいました。いや犯人たちが悪いんだけど。けれども。

犯人たちが子供の時、傷を負ったその時に癒してくれる大人がいたのなら、社会だったのなら、犯人たちが生み出されることもなかったろうに。

 

「なぜこの事件を今になって追うのか」「報道の意義ってなんだ」と言う問いかけも、より明確になっていて良かったです。さらに、阿久津の口から一つの答えを提示しているところも、野木さんの誠実さが現れている気がして心に残りました。(原作は原作で、読者に問いかけてくるようで、それもまた良かった)

橋の下でのシーンがとても好きです。あれは名シーンだと思います。

 

それにしても役者陣がめちゃくちゃ豪華でしたね! 私、主演のお二人以外の出演者はほぼノーチェックで観に行ってしまったので「ええっこの人がこの役を!」「ええっこんな少ししか出てこない役にこの人が!」と言う驚きの連続でした。

鳥居さんの役は良かったなー! ぴったりすぎる!

 

テーラー曽根の店構えはブリティッシュスタイルの店構えだそうですが、『キングスマン』を思い出して一人でテンション上がってました。かっこいい。

源ちゃんの京都弁、私は「あーなんか京都っぽい」というくらいしかわからなかったのですが、星野源ANNでリスナーの京都人がめっちゃ褒めていたし、私のフォロワさんも「源ちゃんの京都弁が素晴らしかった!」とべた褒めしてました。源ちゃんもラジオで「方言指導の先生が(良い意味で)指導してくださった」と言っていましたね。源ちゃんすごい。さすが源ちゃん。

 

2020年もそれなりに映画を観ましたが、今年の暫定1位は『罪の声』です! たくさんの人に観てもらいたいな〜