午睡と虫養い

観た映画・ドラマの感想。時々漫画と本も。

星野源/創造

 

創造

創造

  • 発売日: 2021/02/17
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

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TVCMが放送されてからずっと楽しみに待っていました!!源ちゃん新曲リリースおめでとうございます!!配信開始されたからリピートしまくっています!!

スーパーマリオブラザーズ愛と任天堂への愛がこれでもかと詰め込まれている…!

私はゲームのことはほとんど知らないので(流石にマリオはやったことあるけど*1)、楽曲に詰め込まれた山のようなマリオや任天堂の小ネタはあんまりよくわからないのですが、それでもグッとくる箇所や、私が感じた源ちゃんの変化がいくつかあったので、書いておこうと思います。

※源ちゃんは81年早生まれ、私は80年年末生まれで同学年ということもあり、親しみを込めて勝手ながら「源ちゃん」と呼んでいます。ご容赦ください。

 

「外れ者」の意味するもの

すでにいろんなインタビューで源ちゃん自身が「自分自身が常にメインストリートから外れた場所にいた、でも自分が曲を発信することで周りが自分を中心に集まってくれるようになった」といったことを語っています。

 

星野:コミュニティの輪に入れなかったとしても、作品を作ることで「それ面白いね」ってことで、僕は端っこにいたんだけど、創作することで僕が中心のコミュニティができる。そういう経験を何度もしてきたんです。それで何かを創作することは自分にとって必要なことだと思ったと同時に、そういう過程を人間はずっと繰り返して進化してきたんだろうなと思ってて。

<中略>

星野:それで〈進化を君に 外れ者に授ける〉という歌詞を書いたんです。そしたら『はずれ者が進化をつくる』というタイトルの本を見つけて、合ってた!って(笑)。農学博士の方が書いた学生向けの本なんですけど、すごく良い本でした。それを読んで自分の書いた歌詞は間違ってなかったと、より強く思えましたね。

 

出典:Real Sound インタビューより抜粋 

realsound.jp

 

ただ、私はこの「外れ者」にはそれだけではなく、あらゆる「外れ者」が含まれているように思いました。例えばLGBTQ+ 、被差別者、などなど。

というのも源ちゃんはSUPERORGANISMのオロノとの出会いや「Black lives matter」運動、 最近では『トランスジェンダーとハリウッド:過去、現在、そして』*2に感銘を受けた経験などから、源ちゃんの意識や考え方がどんどんアップデートされている気がするんですよね。ただの私の推測ではありますが、でも間違いないと思う。YOUさんがゲストだった『星野源オールナイトニッポン』では、RBGのTシャツ着てたしね(源ちゃん、『ビリーブ』または『RBG』観たんじゃないかしら)

 

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ちょっと話がずれますが、私は源ちゃんに興味を持ち始めた頃「エロ話が好き」「AVをよく観ている」「そしてその話をする」「オールナイトニッポンは昔からそういう傾向が強いけれども(深夜ラジオだしリスナーは男が多いと思われるから)下ネタが多い」というところに引っ掛かりを感じていました。所詮昔からの「男」だなあって。

隠キャで拗らせていて本人なりに苦しくて生きにくくて、男社会の中では下位層だったかもしれない。でもAVを楽しんでいると公言する点ひとつとっても、「この人は自分が男であるという権力に無自覚なのだな」と女性性を持つ私としては苦々しかったのです。

『YELLOW DANCER』は大好きなアルバムですが、あれもライナーノーツの写真のひとつに明らかに男性器に見立てたバナナの写真とかあるし。そういうところは好きじゃありませんでした(どうでもいいけど男性器を何かで見立てるのはニヤニヤしてスルーだけど、女性器を何かで見立てたらけしからんみたいになるのは何なんだろうね。別に見立てて欲しくもないけどさ)

もともと『恋』『Family Song』で「いろんな形があって良いじゃないか」というメッセージが読み取れていましたが、さらにここ1、2年でまた一段階上がって、「自分の認識を変えよう、実行もしよう」という意思を感じるようになりました。

まずラジオでのあからさまなエロネタが減った。完全に無くなったわけじゃないけど、「夜の国性調査」(というコーナーがあるのよ)でも以前はAVのような、ただエロい投稿を読んでいたのが、最近は「愛しあう行為」という点に重きを置いた投稿を紹介しているように感じますし。

コロナ禍に入ってから、髭生やしてみたり、今回新しくなったアーティスト写真で指輪したりネイル塗ってたりしますしね。

本人からは「海外アーティストが指輪とかアクセサリーを身につけていてかっこよかったから」「塗ってみたかったから」というコメントが出ていましたが、いずれにせよ「アクセかっこいい」「ネイルやってみたい」と思うようになった(しかも実行している)のは、かなりの変化だと思います。そして私はその変化を大歓迎しています。尊敬すらしてる。

 

あ、それで「外れ者」の話ですが。

源ちゃんがどこまで「外れ者」を定義しているのかは分かりませんが、うちの子達なんて知的障害ありの自閉症と発達遅滞(しかも典型的ではない謎発達)ですからね。まさに社会における「外れ者」。でも歌詞の通り「ずらせば真ん中」になったりするし、進化もする。

『創造』を聴いた人はみんなそうだと思いますが、ちょっと元気が出てきたよね。

 

 リズムによる緩急の変化が面白い

これ!途中リズムパターンが変わるのでテンポが遅くなった気がしたんですが、テンポは全く変わってないんですよね。クラシック音楽だと曲の途中でテンポが変わることはよくあるのですが、ポップス*3では無いと以前テレビ番組『関ジャム』で清塚信也氏が言っていたのでよく聴いてみると、確かにテンポは全く変わってない。すごい!

『うちで踊ろう Potoluck Mix』がリリースされた時リスナーから「テンポ変えたんですか?」というメールがよく届いていたらしく「全然変えてないんですよ。リズムが違うと印象が変わるの面白いよね」と言ったことをラジオで話していたのですが、それも頭にあったのかな。いやどうかな。わかんないけど。

 

2番のAメロはスーパーマリオランドの対旋律(裏メロ)なのではないか

僕は生まれ変わった 幾度目の始まりは

澱むこの世界で 遊ぶためにある

配られた花 手札を握り

変える運命を

このあたり。上記は1番の歌詞です。で、2番の同じメロディのこの部分。

死の淵から帰った 生かされたこの意味は

命と共に 遊ぶことにある

僕らふざけた生き物脆く

ひしゃげた文明の 

1番でも「ちょっと不思議なメロディだな」と思ったんです。冒頭からドーンと歌われるサビのメロディと、なんだか雰囲気が違う。

そして2番になると『スーパーマリオランド』のBGMが入ってくるんです。それもはっきり聞こえる音量で。聴き始めた頃は「死の淵から〜」のメロディラインが頭に入らないくらいでした。

最初は「マリオランドの方が聴き慣れてるからか?」と思ったんですが、それもちょっとしっくりこない。でだ。

完全に私の憶測でしか無いんですが、この部分は源ちゃんは

 

「『スーパーマリオランド』の対旋律(裏メロ)になるように作った」

 

のでは無いかと…!!全然的外れかもしれないけど!!!

私がそう考えたのは、前述の通りメロディラインになんだか違和感があったのと、CM版のこの部分。

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20秒あたりから源ちゃんとマリオが目を合わせながら踊ってるんですよ!CMを見た時から僅かな秒数のこのシーンが私はグッと来てまして。

で、ひょっとしたら源ちゃんも「せっかくなんだからマリオともがっつり絡みたい。だからマリオをメインに、自分は裏メロに(でもマリオランドのメロディがなければ主旋律としてもちゃんと成立するように)なるように作ろう」としたんじゃ無いかと思ったんですよ。

いやわかってます。完全に憶測で妄想です。全くの的外れの可能性が高い。…でもそんな気がするんです。

 

星野:とにかく聴いてテンションが上がるような曲を作りたくて。聴いてる人に良い意味でショックを与えられるような、驚きや感動を与えられるパワーを持った作品にしたいなと思って作り始めました。それで今回は『スーパーマリオブラザーズ』が35周年ということだったので、音の方でマリオとの関連性を出しつつ、もともと僕は任天堂という会社の物作りの精神が好きだったので、歌詞には任天堂の物作りの職人たちへのリスペクトの気持ちを込めました。

 

出典:Real Sound インタビューより抜粋

 

源ちゃんの目論見通り、本当に何回聞いても飽きないし、聴くたびに新鮮な驚きを与えてくれる曲です。素晴らしい!!

 

 

 

余談ですが3月6日土曜日には、YELLOW PASS(源ちゃんのファンクラブ的なやつ)限定のオンラインライブが行われます!楽しみ〜!きっと『創造』も歌ってくれるよね。

あ〜楽しみ!×∞

 

ーーー>8

 

追記(21年2月25日):

23日火曜深夜のオールナイトニッポンで源ちゃんが『創造』について解説していましたが、うん、やっぱり私のはただの深読みのしすぎだった気がしますw 恥ずかしいw

 

 

*1:最初のクリボーにぶつかって死んじゃう下手さだけどな!

*2:私の鑑賞感想記事はこちら

*3:今回この曲はオルタナティブに分類されてますが