午睡と虫養い

観た映画・ドラマの感想。時々漫画と本も。

トランスジェンダーとハリウッド:過去、現在、そして

f:id:garacta:20210222015024p:plain

トランスジェンダーとハリウッド:過去、現在、そして (画像は公式サイトのスクリーンショット

www.netflix.com

 

なんと、1月は一度も映画館に行きませんでした。緊急事態宣言が出されたこと、それから週末になると体調を崩すことが多く、出かけるのが億劫だったこと等、理由はいくつかありますが、一番は「どうしても映画館で観ておきたい映画がなかった」ことかな…いや、緊急事態宣言が出されておらず、そこそこ元気だったら行ってたと思うんですが。もうさー楽しみにしていた新作映画が軒並み公開再延期になっちゃってさーーーー残念至極ですよほんとにもう。

 

で、しかし一度も映画観ないで1月を終わるのは寂しいじゃないか。と思い、1月1日にNHKで放送された『あたらしいテレビ』で星野源ちゃんがお勧めしていた『トランスジェンダーとハリウッド:過去、現在、そして』を観ることにしました。

 

すごく濃厚なドキュメンタリー映画で、一度見ただけではちょっと消化しきれないところがあるのですが、まずは「観てよかった」映画でした。

トランスジェンダーに関する私の知識は『13歳から知っておきたいLGBT+』を読んだくらいしかなくて、あとはTwitterでその時々に記事を拾い読みするくらいでした。でも薄いながらも基礎知識があったのは良かったかも。

 

13歳から知っておきたいLGBT+

13歳から知っておきたいLGBT+

 

 

トランスジェンダーの歴史は様々な問題が複雑に絡んでいて、シスジェンダーヘテロセクシャル、そして知識のない私がとても説明できるものではないのですが、その中でも「これは心の底から共感できる!」と思ったのがこのセリフ。

 

ジャーナリスト/映画評論家 トレヴェル・アンダーソン

 

 

番組の作り手には覚えておいてほしい

あるコミュニティの物語を伝えたり

彼らが伝えるのを助けたりするなら

自分の特権を認識すること

そして彼らとの違いを理解することをね

 

「自分の特権を認識すること」というのが、私含め、多くの人ができていないように思います。

私は多少は認識できていると思っているのですが、それは「障害児の親」という、マイノリティーに属するようになってからでした。つまり、それまでは全く無自覚だったのだね、自分が特権を持っているということに。気づいた時にはびっくりしました。そうだったのか、私は特権を持っていたことに気づかずにいたんだ。そして振り回していたんだと。無知は罪。無自覚は罪。

でも、まだまだ自覚していない「特権」を私は持っているのでしょう。今後常に自問していかねばならないことだと、このセリフを聞いて改めて思いました。

 

そうだ、映画の最後の方で失礼なインタビューをしてきた女性テレビ司会者が登場するのですが(そして「下品な質問をする」と叩かれたらしい)、彼女はこう言うのです。

これを学びの機会にしたいの。

どうやって説明する?

適切な会話や相手の気持ちを知るには、言うべきでないことの例が必要よ。

映画の中でも「まずは会話が必要だ。人間なんだから」と話すくだりがあったのですが、すでに踏み躙ってきた/踏み躙られてきた者同士が、説明したり、質問したりするのは、かなりの勇気が必要だし、痛みも伴うものです。先述の女性司会者は、自分の発言が相手を傷つけるとわかっていてなお「では言うべきではないことはどんなこと?」と問いかけているわけで、それは勇気あることだなあと思いました。インタビューされる側のトランス女性も、その点を評価していましたね。

 

しかしアメリカのテレビ番組等、多分アメリカで生活していたら「大抵の人は知っている」みたいな番組が説明なしで登場したりして、すべてを理解するのは難しかった…ああ、無知は罪。

この映画について詳しく解説している書籍等あれば読んでみたいですね。

まずは何事も学んで、そしてアップデートしていかなくてはね。