午睡と虫養い

観た映画・ドラマの感想。時々漫画と本も。

クレッシェンド 音楽の架け橋

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クレッシェンド 音楽の架け橋 ※画像は公式サイトのスクリーンショット

movies.shochiku.co.jp

 

2022年1月30日劇場鑑賞。

 

予告編を観て面白そうだなあと思い、楽しみにしていました。でも正直言うと「ちょっと予想と違った」「テーマがよくわからない」と感じてしまいました…

※ネタバレありでの感想です。

 

 

 

ピアニストの故・中村紘子さんが書かれた「ワーグナーイスラエルでは演奏されない。『音楽は国境を越える』と簡単に言うことはできない」といった内容のエッセイを読んだことがあります。

実際、この映画でもラストは「ガラスを挟んで、向かい合ってボレロを合奏する」と言うシーンで終わります。「共に演奏することはできる、向かい合うこともできる。しかし壁は確かに存在する」という現実を象徴しているんだろうなと思いました。逆に「壁は確かに存在する。しかし向かい合って共に演奏することはできる。きっと越えることもできる」というメッセージかもしれませんが(というか、こちらの方が恐らく映画が伝えたいこと)

 

安易に「音楽をきっかけに若者たちは仲良くなれました、終わり」ではなかったのは、現実を踏まえていてとても良いと思ったのですが、であればもう少し登場人物たちの背景を丁寧に描いてほしかったなあ。対話のシーンでそれぞれ経験談や身内が受けたことを話していましたが、もっと切実に訴えかけてくるようにも作れたんじゃないかと… あ、それに一応これは式典で演奏するためのオケなのに、「全然合奏してる様子がないけど(してるけど時間的に全然足りないと思う)大丈夫なの本番」と余計な心配もしてしまいました。演奏する前に対話がたくさん必要だった、というのも理解できるんですが。うーん。

音楽が要なのはわかる、でもストーリー的には音楽か対話か、どちらかに重心を絞った方が良かったのではないかなあ。

 

ただ、映画を観たおかげでパレスチナ問題についてもっと知りたい気持ちが湧いてきました。今までは知識としてしか知らなかったので。パレスチナに暮らす人がどんな生活を送っているのか知りたい。ヴァイオリンと出会った経緯とか、どうやって弾き方を学んだのか、とか。楽器を続けるにはメンテナンスが必要で、ヴァイオリンなら弓の毛替えや弦の取り替え、クラリネットはリードの入手はどうしたんだろうとか。

 

 

最後に一つだけ文句。

主演の二人、演奏部分は音を被せてましたけど、せめて!ボウイングと音が合っているように編集して欲しかった!!明らかなスラーなのに音を切っているボウイングだったりして落ち着きませんでした。音楽の話なんだしさ〜〜〜細部ももうちょっとさ〜〜〜〜