午睡と虫養い

観た映画・ドラマの感想。時々漫画と本も。

ハウス・オブ・グッチ

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ハウス・オブ・グッチ ※画像は公式サイトのスクリーンショット

house-of-gucci.jp

 

2022年1月16日劇場鑑賞。

レディー・ガガ主演でリドリー・スコット監督作品ということで興味を惹かれて観てきました。劇場で観た予告編しか知識がない状態で臨みました。

 

レディー・ガガは初主演作の『アリー/スター誕生』も観てまして、「演技結構上手いのでは」と思ったんですよね。2作目となる本作品を観て、その直感は間違っていなかったと確信しました。レディー・ガガは演技もいける。

私はあまり把握してなかったのですが、主要人物たちを演じている役者たちがみんな凄い。アダム・ドライバーアル・パチーノジャレッド・レトジェレミー・アイアンズ

会話の部分もよくできていて、人物たちの会話から自然とグッチの成り立ちや一族の確執等々も伝わってきました。役者陣の演技がとても良かったと思います。

パトリツィアとマウリツィオの関係も悲劇的ではありますが、私は二人の娘・アレッサンドラがその後どうなったのかが大変気になりました…幸せに暮らしているといいんだけど。

 

音楽はオペラ作品がよく使われていて楽しかったです。洋楽に詳しくないので何の曲かはわかりませんでしたが、でも聞いたことのある曲が多かったので有名曲なんだろうな。

 

 

 

…さてここからは辛口だ。

演技が皆素晴らしかったので鑑賞後、何に違和感を抱いているのか今ひとつ把握できなかったのですが、後でわかった。「脚本がいまいち!」

グレイテスト・ショーマン』がそんな感じだったんですよ。曲も音楽も歌も素晴らしいんだけど、脚本が!筋書きが!いまいち!!

『ハウス・オブ・グッチ』はマウリツィオとパトリツィアとの出会いと愛憎、そして最悪の結末に進んでいきます。基本的には。

でもそれならそれに絞れば良かったんだろうけど、思い返せば冒頭で「〜革戦争だ」とか言ってたのでチグハグな印象を受けるし(しかしその割にビジネスにおける革の確保(例えばね)といったことについて描写はないし)、「創業者一族で経営してきたグッチに、異分子であるパトリツィアが入り込んで崩壊させた」と捉えるレビューも見ましたが、そもそも一族の結束が固かったようには見えなかった→パトリツィアのせいで崩壊したとも言い難いし。

観ていて「私は何を軸にこの映画を観たらいいんだろう…」と戸惑ってしまったのが正直なところです。映画のメインテーマが見えないというか。愛憎劇が見せたかったのか、グッチ創業者一族の崩壊を見せたかったのか。どちらも見せたかったのであればもっと工夫が必要だっただろうし、どちらかを見せたいのであればもっと軽重をつけて、メインを引き立たせる必要があったと思う。

 

面白いか面白くないかで言ったら「まあまあ面白い」のですが(2時間半ある映画を最後まできちんと観せてくれたのはさすがだと思うし)「リドリー・スコットなんだからもっと面白くできたのでは?」とは思っちゃいますね。人に勧められるか微妙なところ…

ただ、前述の通り演技はどの人物も素晴らしかったので、その点ではお勧めです。

 

ところでレディー・ガガは『アリー/スター誕生』に続き、「無名の女性が社会的地位のある男性とパートナーシップを築いて成功していく(社会的ステータスが上がる)が、だんだん不協和音が生じて崩壊してしまう」という役柄を演じることになっちゃいましたね。ラストはちょっと違うけれども。

レディー・ガガ」というアイコンから受ける印象からはそういう役が合うのかもしれませんが、もっと別の役柄を演じるレディー・ガガが観てみたいなあ。もっといろんな役が演じられる気がするんだよね。